RRI関数で貯蓄型保険の化けの皮を剥がす:満期受取額から年利(金利)を計算する方法
RRI関数とはエクセル(Googleスプレッドシート含む)の関数の一つです。
関数仕様は後述しますが、非常にシンプルな関数です。その割にはこれを知っていればセールストークに引っかかる人がどれだけ救われたかと思うくらい、マネーリテラシーを語る上では超重要な関数じゃないかと最近思っています。
- トータルリターンと年利を混同している方
- トータルリターンから年利(月利も可)を計算したい方
- エクセル/Googleスプレッドシートを使用して資産運用に関する計算シートを作成したい方
一つ例を挙げます。
子供の学資保険代わりとして、以下の積立型の生命保険に加入しました。
- 毎月の保険料:28,944円(17年間払った場合の合計:5,700,576円)
- 満期(17年後)に解約した場合の返戻金:6,156,800円
- つまり、毎月28,944円積み立てて、17年後には456,224円(支払った額の8%)増えて定期預金よりウマウマ!
※ 生命保険なので死んだらいくらもらえる?、とか、積立型なのに何で返戻金なの?とかいろいろ説明は必要ですが、本質ではないので割愛。
上のウマウマ部分を読んで、「全然ウマウマじゃねーよ!」と思う方はこの先を読まなくてもいいかと思いますが、自分は最初この話を聞いて、ウマウマだと思ってしまいました。
これは、年利と複利の考え方が実例に置き換えて考えられていないことと、利率の相場感を知らないことで起こる悲劇なのかなと思います。
上の例で挙げている8%は言ってしまえば「17年利率」みたいな感じで、17年後何%増えているかです。
しかし、世の中の投資商品の利益や銀行の利息は「年利率」(年利:もっと正確に例えて言うと「1年利率」)で語られていますよね。
つまり、フェアに利率を比較するためには、「17年利率」を「年利率」(1年利率)に変換する計算が必要になります。それがRRI関数になります。
RRI関数の関数仕様は下記になります。
【年利率(1年利率)を計算する関数】
RRI(期間数, 現在の価値, 将来の価値)
- 期間数:元々何年利率かという値。年に1回利息が払い出されて、17年運用していたら「17」が入る
- 現在の価値:合計でいくら自分のお金を払ったか
- 将来の価値:最終的に自分にいくら戻ってくるか
今回の例で言うと、17年利率から1年利率を求めるので下記になります。
IRR(17, 5700576, 6156800)= 年利約0.45%
年利0.45%ってどれくらいなんですかね。以前記事に書いた楽天銀行の普通預金は0.1%です。他の銀行を調べると、定期預金によっては0.2%近いものもあったりします。
一方で長期で固いインデックス投資の平均年利率は、20年スパンで米国株(S&P500)で8%[高っ!!]、国内(日経平均)で0.8%[低っ!!]と言われています。(注意:参照元が少し古い記事です)
つまり、確かに定期預金よりは年利がいいけど、インデックス投資に比べるとはるかに劣っていると言うことがわかります。
ここまで分かって初めて同じ土俵に立てます。インデックス投資は元本保証がなかったり、生命保険は資金拘束に加えて保険会社の倒産リスクがあったりして、最終的にどこにお金を預けるかは本人の判断に委ねることになります。
安易に増えた分だけ見て「結構増えてんじゃん、素晴らしい保険だ」と思う前に、数字のトリックに惑わされているかどうかを確認する必要があります。
ちなみに、ここまでの説明はかなり要点を絞って説明しています。「複利」とは何か?、RRI関数は月利も出せたりする補足などは、いつか説明できたら説明します・・・。
ここから先は、おまけです。
先ほどの1年利率の計算結果を検算してみました。
つみたて投資のトータルリターンを計算する楽天証券の積立かんたんシミュレーションで年利率0.45%を毎月28,944円積み立てると下記になります。
RRI関数の結果を小数点以下切り上げたりしたので、ぴったり一致はしませんが、ほぼ同じですね。
しかし、全然増えてないな、これ。