上司も自分も納得する目標の立て方【目標の立て方がわからない方への処方箋】
会社員であれば半年もしくは1年に一度の割合で、個人業務目標を立てて、期末に評価を受けると思います。
何となく業務目標を立てても、上司にいろいろ言われて何となく直して何となく承認される。
日々の業務に追われて業務目標を忘れてしまい、結局期末になって慌てて付け焼き刃のアクションを起こすものの、結果あまり達成していない。
そんな悩みを解決します!!
会社員生活15年以上を経験して、半年に一度個人業務目標を立てている自分が考える大きな1つのコツと小さな3つのコツをまとめました。
期首や期末に憂鬱となる方の手助けになれば幸いです。
個人業務目標を立てる時にこんな状況に陥る方
- 業務目標を立てる時間が少なくて、慌てて中身が薄い目標を立ててしまう
- 業務目標を何度も上司から突き返されてしまう
- 折角立てた業務目標を期中に忘れてしまい未達に終わる
この記事では話をシンプルにするため、誰もが書く機会がある「個人」業務目標をメインに取り上げていますが、「チーム」や「プロジェクト」の目標を立てる際にも活かせると思います。
個人業務目標を立てる時に陥ること
個人業務目標を立てる際によく上司から言われる言葉として以下があります。
これって目標じゃなくて、「○○をやる」というただのタスクだよね。
この目標の背景は何?、何のためにこの目標を立てたの?
何かこの目標、イマイチピンとこないなぁ〜
うーーーん、あるあるですねw
また、目標を立てている自分自身も
何だか目標を達成するモチベーションが無いんだよなぁ〜
と思うこともしばしば。
結局、期末になって慌てるものの、目標未達になってしまい、何のための目標だったのかと・・・。
これらの原因は目標を立てる方法・仕組みに問題があると考えます。
トップダウンによる目標設定の落とし穴
すべての会社に当てはまる訳ではありませんが、目標の設定は大抵の場合、以下の流れで立てられていると思います。
期首に「会社→部・課→個人」と目標を具体化しながら落とし込んでいき、期末に「個人→部・課→会社」と達成の成果を反映していく流れです。
日本の会社はピラミッド組織が大半ですので、普通に考えれば当たり前の流れだと思うのですが、上記の考えに縛られて個人業務目標を立てると以下の問題が発生します。
- トップダウンの目標をなぞっただけの「○○をやる(タスク)」といった目標を作ってしまう
- 目標の背景や上位目標を理解・認識せずに軸がブレる目標が出来上がってしまう
- 主体的に取り組むモチベーションが低い目標が出来上がってしまう
これらを解決するためには、そもそも目標の立て方を見直す必要があります。
個人業務目標の立て方の大きなコツ1つ
目標の立て方のコツを述べる前に、「目標」の定義を再確認しましょう。
「目標」の定義を再確認
「目標」を辞書で調べると以下になります。
目標:目じるし。目的を達成するために設けた、めあて。的
広辞苑より
「目標」の前に「目的」という言葉があることがわかります。「目的」は目指す理想像、最終到達点のことです。初めから目指すところに到達できているのであれば目標は不要です。
逆に、目的に到達するための障壁となるもの・ギャップがあるから目標が必要になるわけです。会社員の業務に置き換えるのであればその障壁の多くは「不満・困りごと・失敗」ではないでしょうか。
図にすると以下になります。
例えば、ソフトウエア開発会社において「目的」「目的を阻害する事実」「目標」を挙げるとすれば下記のようになるでしょう。
目的:顧客の求めるソフトウエアを低コスト高品質で提供する
目的を阻害する事実:顧客リリース後の重大不具合が○件もある
目標:重大不具合をリリース前に潰してリリース後の発生をゼロ化する
つまり、目標を立てる上での起点はトップから与えられたものではなく、目的を阻害する事実を持っている現場であり、業務を遂行している我々にあると考えることができます。
大きなコツは「トップダウンとボトムアップの合わせ技で臨む」
前述を踏まえると、個人業務目標を立てる上での大きなコツはトップダウンだけで立てるのではなく、ボトムアップのアプローチを含めて立てることです。
図にすると以下になります。
ボトムアップから来る目標とトップダウンから来る目標を紐づけることによって最終的に一気通貫な目標設定を目指すイメージです。
具体的には以下の手順を踏むことになります。
- 一旦トップダウンで与えられた目標を忘れるw
- 日常の業務において不満・困りごと・失敗などを洗い出す
- ②で洗い出された中で「自分はどうなって欲しいのか」を個人業務目標として設定し、トップダウンの目標と紐づける(関係付ける)
こうすることによって、自分の仕事をより良くしつつ、上司の目標の達成にも貢献する個人業務目標が出来上がります!
自分にとってメリットのある目標ですから主体的に解決に向けて行動することにも繋がり、自然と個人評価アップとなります!!
個人業務目標の立て方の小さなコツ3つ
個人業務目標の立て方を前述のトップダウンとボトムアップの合わせ技で臨むを前提として、小さなコツを3つ紹介します。
コツその1:トップダウンの目標はパターン化されている
トップダウンで目標が与えられると言うことは上司も目標を考えなければなりません。
上司の目標が展開されるのが遅れたにも関わらず、
何で個人の業務目標の提出期限が延期にならないの〜
となることもあるでしょう・・・(自分はあった!)
しかし、会社である以上は目的はある程度決まっています。
【会社の目的】:利益の最大化、持続的な会社の発展
【部・課の目的】:会社の目的を果たす組織づくりと実績蓄積
【リーダーの目的】:組織・リソースを活用したプロジェクトの成功
結局、この目的に向かって進むために設けた具体的な目印が目標なのですから、上司とコミュニケーションが適切に取れていれば何となくトップダウンからの目標はわかるはずです。
今期はこんな案件がありそうだ、今後はこんなビジネスを会社は考えているなどです。
そう考えると、トップダウンで目標が展開される前に、とっととボトムアップで不満・困りごと・失敗を洗い出して「こうなったらいいのに・・・」や「どうしたら今より少しでも良くなるだろう」と考えて前へ進めた方が時間切れになるリスクを減らすことができます。
コツその2:目標を立てるのに行き詰まったら、原因は情報不足
そうはいっても、目標がうまく立てられなかったり、トップダウンからの目標と紐づかなかったり、目標を立てたとしても浅い目標だったりすることがあります。
そんな時は大抵、情報不足(不満・困りごと・失敗が洗い出されていない)が原因です。
目標の背景は具体的な事実のため、情報無くして目標無しになります。
情報収集と仰々しくなるのですが、例えば以下で具体的な事実を集めてみるのはいかがでしょうか。
- 過去のメールを読み返し、不満や失敗を思い出す
- 1日・1週間の業務を思い出し、スムーズにいかなかった仕事を思い出す
- 同僚と雑談してみて挙がった愚痴を記録する
コツその3:個人業務目標でもチームで検討すると効率&効果アップ!
「個人」業務目標なので、個人で考えるのが普通ですが、これをチームで考えて検討するとめちゃくちゃメリットがあって効率的です。
大きなコツ1つで述べた、ボトムアップによる目標の立て方をチーム版にした場合は以下の通りです。
- 一旦トップダウンで与えられた目標をみんなで忘れるw
- 日常の業務において不満・困りごと・失敗などをみんなで洗い出す
- ②で洗い出された中で「我々はどうなって欲しいのか」を個人目標として設定し、トップダウンの目標と紐づける(関係づける)
- 紐づけた目標を誰が担当するのか決める
図にすると以下になります。
このメリットは自分が思うだけでも5つあるのですが、もっとあるかもしれません!
それくらいオススメです。
- 自分では気づかなかった不満・困りごと・失敗が出てくる
- 自分の不満・困りごと・失敗を他の人が解決してくれることもある
- チームみんなの方向性が同じになり一体感をもって業務を遂行できる
- 誰がどんな目標があるか共有済みのため、時には目標達成に協力してくれる
- どうしても個人では解決できない目標は上司にエスカレーションすることにより上司の目標(課題)として上司が解決してくれることもある
できることならこの検討会は上司を入れずに、気軽に話せるメンバーでざっくばらんに話せる環境が望ましいです。
キッカケも「ちょっと愚痴言い合わない?」と誘いながら、会議室を「業務目標検討会」と銘打って確保すれば上司は文句を言いませんし、いっそのことお菓子でも真ん中に置いてしまいましょう。
お菓子食べる口実にしてない??
まとめ:方法論を身につけて目標を効率的に立てよう
昇給・昇格・賞与がある会社員としては避けては通れない個人業務目標について、大きな1つのコツと小さな3つのコツを紹介しました。
【大きなコツ】トップダウンとボトムアップの合わせ技で臨む
【小さなコツ】
- トップダウンの目標はパターン化されている(目標が展開するまで待つ必要なし)
- 目標を立てるのに行き詰まったら情報収集をしよう
- チームで個人業務目標を検討すると効率&効果アップ!
今回具体例を挙げていませんが、実際に現場でこの方法を用いることて、何度も上司から突き返されてきた同僚がスムーズに目標策定&上司OKをもらったこともあるので、試してみる価値はあります!
OJTという言葉がありますが、このような方法論をレクチャーできずに「慣れだよ、慣れ」で押し通す先輩や上司にぶち当たった場合は自分で勉強してどこでも通用する確固たる技術を身につけるしか無いですね。
今回はあくまで目標の抽出のみを記事にしていますが、その目標の達成するための困りごと原因深掘りや実行プランの立案などは下記書籍が参考になります。
海外の書籍を日本語に翻訳したので取っ付きにくいかもしれませんが、この手の書籍はいろいろありますので書店で立ち読みして気に入った本を探してみるのがオススメです。